「なんで私はうまくいかないんだろう」

友人の結婚式でシャンパンを口につけながら思った。
白いドレスを着てる友人は幸せそうに笑っている。
私にもあんな日が来るのかしら。
貯金はちゃんとしてる…はず。
母がちゃんととっておいてくれれば…。

仕事をしながら給与のほとんどは母に渡している。
というか、職場は母と一緒で、母は社長と不倫しているからなんでか私の給与はいろいろ引いた上に母に管理され、月5万だけ手元に残る。
父も母も「りんこは世間知らずだから」とお金を持たせてくれないし、門限も11時に設定されている。
私はもう、27歳だ。

カレもまた、同じ職場で、母と仲がいい。
「翔くんがいればりんこは大丈夫ね」
と太鼓判をおしてる。
7年付き合ってるカレはギャンブル好きで貯金なんて30万もないのを母は知っててそんなことを言ってるのだろうか。
お願いして、やめて、お願いしてやめたふり…正直、もう信じてない。
でも、カレと結婚すると思ってきたから他の道も思いつかない。

アラサーに向けて、結婚相手もいて、仕事もしてて…
私はそんな状況の中で息が詰まっていた。

学生のテンジ君がバイトで入ってきたのは5月だった。
「若い…ついていけないなー」と思ってたけど、仕事を手伝ってくれたり話をしているといいやつだなーと思ってた矢先に、告白された。
「知ってると思うけど、私には翔君がいるよ」
「知ってるけど、好きだ」
と、強く押されて、求められて、私はそれを心地いいと受け入れてしまった。
6月には同じ職場での泥沼三角関係が出来上がっていた。

カレにはすぐにバレた。もちろん母にも。
私はカレと別れることにした。二人に猛反発にあい、カレには、
「今度こそ本当に変わるから!ギャンブルは一切やらないし、もっとりんこを大事にするから」
と言って泣かれた。

私は強く求められ、身体の相性も良く、新鮮でたのしいテンジ君を選ぼうとした。
母が「あんた仕事無くなるよ?」と脅してくるなんてびっくりした。
もちろん、テンジ君はクビにされた。
カレとこのまま付き合っても楽しくないのに気付いてしまったので、どっちも選べない私はどちらとも付き合うのをやめた。
夏祭りの日が近かった。

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夏祭り、私はテンジ君といた。
今は、カレより、年下のテンジ君がほしかった。
友人には馬鹿にされたし、親に言うと怒られるから内緒で会いに行った。
なんとなく息苦しい居場所は、さらに居心地が悪い場所になっていた。
しかも、もうテンジ君もいない。元カレが私にやさしくするのがしんどかった。
早く復縁を迫られるのも苦しかった。
「りんこの飼いたいって言ってた猫も飼い始めたんだ、また好きな時にうちにおいでよ」
付き合ってる時はあんなに私の話を聞いてくれなかったのに…
テンジ君は新しいバイトを始めて、会える時間が減っていった。

9月中旬、テンジ君がさめているのに気づいた。
私は職場と家のいづらさ故にテンジ君の家に入り浸っていたし、バイトで会えないときは泣いていた。
完全に依存していた。
テンジ君は距離を置こうと言ってきた。
私はいやだと泣きついた。既読にならないLINEに私は絶望した。

門限をやぶって、テンジ君の家の前で待っていた。
終電もなく、私に帰る気がなかったから家にあげてくれたけど、私を避けていた。
母にも逆らって、カレとも別れてあなたを選んだのに!
私は一晩テンジ君を責めた。

気持ちが落ち着かなかった。
家に帰らなかったことで、母にテンジ君と続いていることがバレた。
家で3時間以上お前はだらしない、ダメだ、一人で生きていけないと繰り返し言われた。
そんなことよりテンジ君に会いたかった。

カレから連絡が来たのは「一ヶ月実家に帰るからしばらく会えない」という内容だった。
私はその日、取り乱して何度も何度も電話した。
テンジ君は「今から飛行機に乗るから出られない」と連絡がきたっきりだった。
私は完全に自分を見失っていた。
反対してた友達に聞いてもらうこともできないし、家ではずっと責められる、私は全然知らない人に相談することにした。

元カレを引きずってる人の話をききます

話しているうちに少し冷静になってきて、6つも下の男の子に振り回されて自分が取り乱したのが恥ずかしく思えてきた。
そりゃ、友人にも引かれてしまうわ。
私はテンジ君が地元に帰った日から連絡をやめた。
毎日連絡したかったから、恋愛相談の人に話を聞いてもらった。
依存していたのも、執着してたのも、自分の自信のなさからだというのがゆっくりわかってきた。

婚活ベントにも行ってみた。
7年も彼がいたから、自分でもモテるのにびっくりした。
元カレはまだ待ってくれていたし、婚活でも結婚を前提にという話をしてくれる人も意外といた。
飢餓のような不安や悲しさは埋まっていき、テンジ君へ連絡したいと思わなくなった。

相変わらず家族とはうまくいかなかったけど、少しづつお金を貯めて資格を取ることにした。
年下のテンジ君とのデートに使っていたお金は自分の美容費に回すことができた。

私は実家から出ること、転職することという目的ができた。
そして、あんな別れ方をしたテンジ君には連絡しないけど、好きだったんだなというのも時間を置いてじわじわ実感してきた。
家も職場も辛かったけど、そこから出ることを目標にできたから気持ちは軽くなった。
元カレは、なかなか戻らない私にまたつらくあたるようになった。
ああ、結婚しても、こうやっていやになったら機嫌悪くあたられるんだなと思ったら7年も結婚もいらないと思った。

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テンジ君から連絡が来たのは突然だった。
好きだったけど、もう同じようにみっともない思いをしたくないから返信せずにいたら、職場の駐車場にいた。

私もびっくりしたし、少し怖かったから、ファミレスに入った。
ずっと依存していた私から連絡がなく、毅然としていたからか、テンジ君は泣きながらやり直したいと言い出した。
私は今の自分の目標を話して、また戻ってしまったらうまくいかない気がするから今は考えられないといった。

少し前の自分なら考えられない回答だった。
でも、そう思っていた。
テンジ君は、それでも待つと言ってくれた。

私の一人暮らし用の貯金はなかなかたまらなかった。
父に交渉しても一人暮らしなんて許さないの一点張りだった。
でも私も引かなかった。
息苦しい中で一生を終えるイメージから逃げたかった。
母も口うるさいし、元カレもいつも職場で不親切だ。
でも、もう少しで資格が取れる。

休日にはテンジ君と外で会って近況を話すようになった。
「ずっとりんこといたい」
実家に帰る前は「実家の家業をつぐから」と言って私との未来をはぐらかしていたのに、そういうようになっていた。

やりたいこと、適度な距離、少しの自信、依存と執着で支配されていた私はこれらを持つことで少し変われた。
全てがうまくいってるわけじゃないけど、自分を見失うことはなくなった。

結婚も、仕事も、うまくいくかわからない。
私はもう少しで28歳になる。

でも前より少し、自分の人生を歩いている気がする。


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